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新しく始めた透明な牛乳『カルシウム ゼロ クリア』の配達の仕事に日々疲労困憊のカミノだったが、そんな毎日にも終止符が打たれた。
その終止符を打ったのはある初夏の日の出来事だった。今日はまだ暑くなり切らぬうちに配達を済ませようと早めに配達を始めたカミノ。配達の折返し地点である小高い山の上の乳白色の壁の一軒家から、ふいに女性が現れた。
水よりも透明な『カルシウム ゼロ クリア』よりも更に透明な瞳に照らされたカミノは、透明な牛乳を手にとり、息が切れていることも忘れ声帯を震わした。
「カルシム ゼロの配達でーす」
外で飼っている犬に餌を上げていた彼女は、その声に気づき振り返る。
髪がやさしく揺れる。
「おはようございます」とはにかみ挨拶を返す彼女の瞳は、瓶についた水滴のように丸くキラキラしていた。
瓶を受けとり玄関へ消えていく彼女の後ろ姿を見送ると、「明日も早く配達をしよう」そう心の中でつぶやきカミノは次の配達先へ向かうため、再び自転車にまたがった。自転車の重さはもはやカミノには感じられなかった。
次の日も、その次の日も早起きして同じ時間に牛乳を届けた。そしてカミノはだんだんとその女性に心惹かれていった。いや、出会ったときからすでに。
それから数週間、毎朝彼女にひと目会うために配達を欠かさなかったカミノだが、一配達員であるカミノと彼女との距離はまるで牛乳の生産者と東京で暮らす消費者のように一向に縮まらず、もどかしく感じていた。更に一つカミノには気がかりなことがあった。最近彼女の笑顔が心なしか辛そうにみえるのだ。帰宅したカミノにそんな相談を受けた相方SAMIDAREはこう言った。
「カミノが惚れる人なんだ。いい人に間違いない。もしもその人の笑顔に曇りが見えたのなら、お前にできることは一つしかない。なんの為に俺らはいるんだ?そうだろ?カミノ。」
明くる日、意を決してカミノは自転車を漕いでいた。そのポケットには一枚の紙が入っていた。誰よりも早く届けたい。世界でただ一人だけ君にだけ届けたい。そしてカミノは初めて出会ったときのように、息切れしていることを忘れて、彼女にこう言った。
「これ、今度のライブのチケットです。あの、よかったら是非。」
それからというもの、カミノはいつにも増してネタ合わせに真剣に取り組んだ。彼女を全力で笑わせるために、一瞬でも、彼女が本気で笑えるように。
そして7/29日。新宿のとあるライブ会場でライブは始まった。
舞台袖から出てきたカミノは照明に目を凝らし真っ先に彼女を探した。そしてカミノの目は観客席の一点に釘付けになった。いつも見る姿よりも更にきれいな格好をした彼女を。そして、彼女が親しげに笑いかけるその横にいた男の姿を。
無事盛況に幕を閉じたライブ会場をあとにした二人だったが、シェアハウスをしている家につくとソファーに腰掛けたカミノはどんよりとしたまま微動だにしない。
遅れてリビングに入ろうとしたSAMIDAREだったが、流石に尻込みした。
自分が良かれと思って彼女を誘うことを提案してしまっただけに、なんと声をかけていいかわからない。
ひとまず隣りに座ったまま、天窓を見上げるしかなかったSAMIDAREは、飲みかけのままだったワンカップを喉に押し込んだ。
キズマシーン第3回単独ライブ
「リビングに入るとき、尻込み」
2018 7/29
[会場]
新宿バティオス
東京都新宿区歌舞伎町2-45-4
[時間]
開場19:00/開演19:30
[料金]
前売り券2000円/当日券2500円
[予約方法]
ローソンチケットにて発売中 Lコード:34782
※上記物語はライブの内容とは関係ありません
サイズ | 直径 (cm) | 高さ (cm) |
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フリー | 8 | 9.2 |
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