ネコを探しているうちに日は暮れ、人気もなくなり、
見知らぬ海岸をさまよっていた先生。

「ここはどこだろう？」

真っ暗闇の中、自販機の灯りさえありません。
5キロほど歩いたとき、ようやく灯りを発見。

そしてそれは幸運にも、タクシーでした。

「やったー！　家に帰れる(´▽｀)」

駆け寄ると、後ろドアが開いたままアイドリングしており
中には誰もいない。

（あれ？？これ見たことあるなぁ…）

ニュース映像の中でタクシー強盗にあった光景を思い出した先生。
驚愕し慌てふためきます。

頭が真っ白になり、タクシーの前に回り込むと
運転席にネコが座っていました。

シートに埋もれるように座っていたので、見落としましたが
確かにそれはハンドルを固く握りしめたネコでした。

（なんだか変なネコだなぁ…）

強盗じゃなくてホッとしたものの、
ネコがタクシーを運転するのかと思うと心細くなります。

でも、このネコ以外、周りには誰もいないので
おそるおそる乗り込むと、のどをゴロゴロならし発進。

会社名：　ネコ交通グループ
所属：　　ネコの手（臨時）社員
名前：　　貞奴（さだやっこ）

助手席のプレートに目をやるとそう書いてあります。

（さだやっこって言うんだ…　ふ～ん）

10分ほどどこへ向けてか知りませんが、
車をひたすら走らせ、無言が続きました。

たまらず自宅の住所を告げて、「分かりますか？」とたずねると

「すぐそこですニャ(ू•ᴗ•ू❁)」

「すぐそこ！？」

（大分歩いたけどなぁ…おかしいなぁ…近道でもあるのかなぁ…）

「道に迷ったときは近くのキャッツに聞きますニャ。
　だから心配ないニャ(ू•ᴗ•ू❁)」

「そ、そう…」

（何か　嫌な予感がするなぁ…）

とても疲れていたので、しつこくたずねなかった先生は、
そのまま眠ってしまい、案の定あとで後悔することになるのでした。