博士へ

近年過酷な天候に見舞われる事が多くなりました。
体調は崩されていませんか。
季節を問わず小まめな水分補給が大切らしいです。

ところで。
こうしためまぐるしい気象へ対応可能な新素材の開発が急がれていると、先日立ち話をした＿＿企業開発部の研究員がこぼしておりました。

何でも。
＿＿大学教授でもある一流デザイナーとの合同研究だとか。
御存知でしょうか、全身をウサギの縫いぐるみで包んだドレスをファッションショーで披露した方。一時期話題になったものです。
確か、「ウサギは多感な心が抱える寂しさの象徴」というイメージらしいですね。
そのファッションショーでは絶賛されていました。

そうした、一流服飾業界と連携する動きは他企業でも見受けられるそうです。開発競争が激しいのでしょう。

そして組むのは一流デザイナーですから。
なかなかに攻めたアイデアを提案してくるそうで。
開発部が腕組み眉間に皺を寄せて、コーヒーがすっかり酸っぱくなるまで唸る事も少なくないとの事です。

そんな立ち話を頂いた缶コーヒー片手に聞いておりますと。ふと過ぎった事がありまして。

科学者の中には、自身の知的好奇心、探究心のまま突き進んだ…という事例が多々あるものです。
本人には純粋な「科学者の熱い心」ではありつつも、実際異常な程までに可能性を追い求める姿勢は「マッドサイエンス」と称されました。

詰まる所。
開発部の方のお話から。
トップスとボトムスの可能性。カラーコーディネイト。異素材の組み合わせ。高機能新繊維の探究。
一流デザイナー。インフルエンサー。多感な学生たち。
そうした服飾について探究心が止まぬ、というような人種らも、日々一種のマッドサイエンスを展開しているのやもしれません。
と、人間の探究心について思ったのです。

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ああそうでした。
その開発部の方から試作中だという繊維を少々分けてもらいまして。
博士はこうした話を聞くと実物を見るまで夜も眠れなくなってしまうでしょうから。サンプルをお送りいたします。
どのような素材なのか、私も顕微鏡など通してじっくり眺めたいと思います。

それでは。

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追伸
このサンプルを開く際は、ロボットアーム等遠隔操作を用いてください。博士がウサギアレルギーであろうと無かろうと。

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