どこかにあったかもしれない
味噌マヨネーズ専門店
「土に叢雲」
のノベルティ。

「味噌、お好きなんですか？」
「いいえ」
「マヨネーズ、お好きなんですか？」
「むしろ嫌いです」
「でも味噌マヨネーズって…」
「合わせる事によって別の…なんというか別次元の調味料になるんですよ！」
と、店主は声のボリュームをあげた。

相当なこだわりがあるらしい。
店内には各地域の味噌が20種類、3種類のマヨネーズの名前が木札書いてさげてある。
札をとってカウンターにだすと店主がブレンドした味噌マヨネーズをだしてくれる。
そこに七味、柚、山椒も追加可能だ。
おすすめは信州産の味噌に3種の中で辛いマヨネーズを3:7でブレンドし、七味を追加した味噌マヨネーズだと勧められた。
叢雲ブレンドだそうだ。
土ブレンドは愛知産の赤味噌に3種の中で酸味の少ないマヨネーズを5:5でブレンドし、柚を追加したものらしい。
両方試してみようと木札をカウンターに出した。
「あまり混ぜないで…」
と言ったら店主の顔つきがかわった。
「混ぜなかったらただの味噌とただのマヨネーズです。うちには味噌マヨネーズしか置いていません！」
と、顔を真っ赤にしながら捲し立てられた。
どうせなら味噌とマヨネーズと味噌マヨネーズの味を比べて楽しみたかったがしょうがない。
味噌もマヨネーズも別々には絶対売らないそうだ。
見たことのない味噌を別に試してみたかったのだが無理か…。
そういう客への説明を省く為の木札注文方式らしい。
叢雲ブレンドの味噌マヨネーズを受け取って
「何に合わせるのがおすすめですか？」
と聞くと
「何にでも合いますよ、私はそのまま食べます」
…何かに固執する程好きな人に、好きなものの事を聞くのはやめた方がいいな、そう思った。