通学で見かけるいつものあの子は、メロンソーダのトートバッグを片手に静かに揺られ、立っていた。いつか声をかけようと思ってからあっという間に3年が過ぎた。
結局声をかけられず人生の青春時代は通り過ぎてしまった。
— 半年ぶりに実家に帰った帰り、俺は目を疑った。
毎朝見惚れていたあの子が、また俺の前に立っているのだから。
鞄にはメロンソーダのクリアケースがついていた。その近くにもう一つ同じものがぶら下がっていて、二つのメロンケースは同じ駅で降りた。
あの時声をかけてたらと思った。
最寄りを二駅通り過ぎ、これからは乗り過ごすまいと心に誓った。