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あれは一昨日のことだ。
飲食店でのバイト終わり、その日のまかないはハンバーグセットだった。
ハンバーグに合うドリンクといえばコカ・コーラ。僕はドリンクバーにコーラを取りに行った。
グラスをセットし一際目立つコカ・コーラのボタンを押す。
おかしい。一瞬だけコーラは出るもののそれ以上出てこない。何度かチャレンジしても、コカ・コーラは出てこない。何かが起こっている。僕は確信した。
他のドリンクはどうだろう。コカ・コーラ以外のドリンクがどうなのか。おかしいのはコカ・コーラのボタンだけなのかドリンクディスペンサー本体なのかを確かめるべくいろいろと押してみることにした。ファンタメロン、ドクターペッパー、カルピス、ジンジャーエールにレモネード。そのどれもが息がつまったようにしか出てこない。
このままではいけない。どうにかしなければ。しかし、僕はもうユニフォームを着ていない。上下黒のピシッとしたユニフォームではなくだらんとして鼠色のジャージだ。そんな服で作業をすれば僕はどう見られるだろうか。まるでドリンクディスペンサーに興奮しているドリンクバーマニアのように見られるのではないか。もしくはただの不審者か。
僕はカウンター内で作業をしている女性の先輩に声をかけた。ドリンクディスペンサーの調子が悪いみたいです。ちょっと見てもらえませんか。
先輩はさわやかな笑顔で頷くとコカ・コーラのボタンを押し始める。当然のようにコカ・コーラはコップになみなみと注がれた。ゲロニカ君、特におかしい所はなさそうだよ。
何が起こっているのかわからなかった。ただ一つ、忙しい先輩の手を煩わせたことだけは理解していた。僕は人見知りで話すのが得意ではない。かわいらしい女性なんてもっての他だ。どもりながら感謝と謝罪を述べていると異常に口の中が乾く。手の中のグラスにそっと口を付ける。
飲みたくもないミックスジュースの味がした。
Size | Diameter (mm) | Length (mm) |
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