先生、どうか涙をふいてシャキッとしてください。

　ワシ、大事な話をしなくちゃならんのです」

20年前に亡くなった愛猫は、先生の頭に生えているしっぽを見ると、

キリっとした顔になりました。

「橋の上で子ネコたちからラーメンを信じますか？と聞かれて

　先生は『信じます』と答えたでしょう？だからですよ、

　先生はもう普通の人間ではなく半分ネコなってしまったですよ」

「そんなファンタジーみたいなこと言わないでくれ。

　心底参っているんだ…シッポのせいで人生メチャクチャだ」

愛猫は先生の肩に乗ると、前足で優しく涙をぬぐってあげます。

ネコの毛が目に入ってますます涙があふれる先生。

「だからワシ来たですよ。先生を助けるために。安心して下さい。

　あるやんごとなきネコの神様がいましてネ、

　シッポが生えた先生のことを心配しておられ、

　『このままだとどうなるか？』

　少し先の未来のことを見てきてくれたですよ」

「やんごとなき…ネコ！？少し先の未来？」

「そうです。時をかけることができるネコ。通称『時ネコ』といって

　とても偉いネコの神様で、未来と過去に行けるネコです」

「そんな…」戸惑う先生に、愛猫はコクリとうなずくと、

一枚の写真を見せました。

「こ、これは？？？　5歳くらいの子どもみたいだけど…」

「よくご覧になって…誰かに似ていませんか？」

「ちょっと…恥ずかしいけど私に似ている気がする…」

「グフフフ。小さい頃の先生にそっくりですよ」

「ま、まさか……私の…」

「グフフフフ。そうですよ。

　先生の愛娘「ジョーズ」ちゃんです。５年後のお姿ですよ」

「ジョディーか、キュートだなぁ…」

「いいえ、ジョーズです」

「ジョーンズ？」

「ジョーズ、鮫（さめ）です」

「…？？」

「未来のアメリカ人の奥様がお付けになられます」

「クーーーーー！！」

先生は子供がとてもかわいそうだと思いました。