☆ルイス・ウェイン Louis Wain (1860–1939)
☆パンジーとタビー　PANSIES AND TABBY

ルイス・ウェインは、ゴルフやお茶を飲んでいる擬人化された猫の絵でビクトリア朝時代に人気を博した英国の画家です。6人兄妹の長兄であり、20歳の時に父が死去し、母と妹達の生活費を稼ぐために給与の安い教師職を辞め、雑誌の挿絵などを描くフリーの画家となりました。
23歳の時に妹の家庭教師であった10歳年上のエミリーと結婚。しかし、妻のエミリーはガンに冒され３年後、彼が26歳の時に死去してしまいます。妻のエミリーは病に苦しんでいたとき、一晩中、雨の中で泣いていた迷子の白黒子猫のピーターを可愛がっていました。エミリーの心は子猫のピーターによって大いに癒やされ、それに触発されたルイスはピーターのスケッチを取り始め、それから猫の絵ばかり描くようになったと言われています。
ルイスは動物チャリティー活動も行っており、猫保護協会、反生体解剖協会などに参加し、全国猫クラブの議長としても活躍していました。

また、優しく穏やかで騙されやすいシャイな性格で、交渉ごとが苦手だったため、出版社には安く作品を買い叩かれ、権利関係は取引相手に任せっきりで、作品の人気の高さにも関わらず、ウェインは常に金銭に困っていました。

晩年になり人気に陰りが見え始めると生活的に困窮。同時に精神的にも不安定さが増し、子猫のイラストもサイケデリック調で幾何学的な形態に変容していきました。
６４歳の時に彼の言動そして暴力に耐えきれなくなった姉妹によって、ルイスは精神病院の貧困者用病棟に収容されてしまいます。その事実を知ったルイスのファンでもあった小説家H.G.ウェルズらの嘆願などにより王立病院へ移され、その後、患者たちのために心地よい庭と、数匹の猫が飼われていた病院に移動し、ルイスは死去するまでの9年間をこの施設で過ごし、本来の穏やかな性格を少しずつ取り戻していったと言われています。

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