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能　枕慈童／まくらじどう／菊慈童／きくじどう
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山のふもとで霊水が湧きでたという噂を聞いた魏（ぎ）の国の文帝は、勅使（ちょくし＝使者）たちを山に派遣します。
勅使たちが山深くにわけいると一軒の庵が。そこで出会ったのは、かつて周の時代に穆王（ぼくおう）につかえ寵愛をうけていた美少年・慈童でした。
700年を生きるという慈童に勅使たちは驚きます。
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かつて、誤って穆王の枕をまたいでしまった慈童は、流刑地であったこの山へ捨てられ、おまけに山にかかる唯一の橋も切り捨てられ実質死刑に。
しかし慈童は王の枕を形見にもらっていました。
枕には妙文が入っており、それを菊の葉に書きつけて、したたるしずくを飲むと、なんと不老長寿を得たのでした。
慈童は不老長寿の薬の水をたたえながら、妙文を勅使にわたし、帝の安寧をことほぐのでした。
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形見のまくら、あやまちのまくら……寵愛をうけていた美少年は穆王と寝室を共にしたのでしょうか。その甘美な記憶をとどめるまくら。山に捨てられてからは一人、まくらを抱えて眠ったことでしょう。
切ないまくらも、修学旅行の学生にかかれば激しく楽しい一夜の思い出。
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（2018年版国立能楽堂卓上カレンダーに使用）