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ギックリ腰とともに生きる人に捧げる。
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ある年の秋の朝、いつも通りの朝。
肌寒さがでてきたころ。目覚ましが鳴る。
寝起きの悪い僕は、Twitterを眺めながら、今日のスケジュールを思い返す。
ようやく目が覚めてきた。起き上がり、一日の支度をする。
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「一息ついたら、そろそろ出よう」
ベッドに腰掛けようと、小さな部屋の、机からベッドまで、歩み出す。
その時、腰に激痛が走る。
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それが痛みだと気づくのに、少し時間がかかった。
誰かに引っ叩かれたのか、机にぶつかったのか、それとも何かが飛んできたのか。
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どれも違う。
痺れるように腰から身体中へ走り抜ける電撃のような痛み。
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何かに捕まらなければ立ってもいられない。
たまらずベッドに倒れ込みたい。
けどそれも出来ない。
部屋の中のあらゆる物、身体の支えになるものを、一つずつ掴みながら、やっとの思いでベッドに横たわる。
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寝返りも打てない。咳の反動で激痛が走る。
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僕は、22歳にして、魔女の一撃をもらってしまった。
西洋で魔女の一撃と称されるこの痛み。
またの名を、ギックリ腰。
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そこに畳み掛けるように襲いかかる腹痛。
30分ほど辛抱した。しかし、腰に携えた魔女は、離れようとはしてくれない。
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背と腹は変えられぬとは良く言ったものである。
この場合はどちらも痛いから、変えても仕方がない。
背の方の痛みを引きずるように、トイレに向かう決意を固めた。
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その先にあったのは、トイレではなく、魔女の追撃。さらに昨日食べた夕食も追い討ちをかけてくる。
まさに地獄の拷問。
僕はただ、5m先のトイレに行きたいだけなのに。
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もう一度、背も腹も変えられぬことを突きつけられた僕は、息をとめ、背の痛みを無視するように、ほふく前進で進む。
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途中、何度もその歩みを止めそうになった。
けど、今ここで止まったら、これまでの拷問のような痛みに耐えた僕は何だったんだ
止まるわけには行かない
ここまで進んできた勇気ある自分
その誇りを汚さないため
賃貸の部屋のマットレスを汚さないため
身支度を整えて履いてしまったお気に入りのパンツを汚さないため
僕は進んだ。
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やっとの思いでたどり着いた僕にとって、様式の便座は、チョモランマを彷彿とさせた。
はるか高みにそびえ立つ、その頂きは、あまりに眩しい。
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トイレというものに、道はない。
登山家を助ける道しるべも、手すりも、何もない。
それでも、登り切るしかないのだ。
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勢いに身を任せ、便座に座り、脱ぐ。
勢いのままに、出る。
「間に合った」
登頂の安堵感を味わう僕に訪れたのは、雄大な景色でも、神秘的な御来光でもない。
登山家に残酷に襲いかかる高山病。
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魔女を引き連れた僕にとって、座るという姿勢はあまりに無謀。
だが、腹の一物を勢いのままに出し切り、安堵した僕に、もう一度あの拷問に耐え切る胆力は残されていない。
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ここから約90分にわたり、助けのこない絶望のなか、そこから動くこともできず、もがき、苦しみ続けた。
こうして往復10mのチョモランマ登山を終えた僕は、ベッドという唯一の安息地帯に戻り、胸を撫で下ろした。
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「いつまで続くのか。」
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この話のことではない。僕の痛みのことだ。
結論は三日間だった。
この日から二日後にあたる、魔女との同伴生活三日目。
ようやく直立という奇跡を手にした僕は、友達という名の松葉杖を手に病院へ向かう。
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「ヘルニアだと手術。ギックリ腰ならコルセット。レントゲン撮るよ、どっちか分かるから。」
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時に医者というものは、残酷な可能性を淡々と突きつけてくる。
不安と絶望と緊張が入り混じった僕は、レントゲン撮影を終えて診察室へ呼ばれた。
部屋に入り、医者と目が合う。医者の口が開く。
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「あなたは、腰に弱点を抱えていますね。」
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終わった。
ヘルニアだ。手術だ。
しばらくは自由に動けない。
昔受けた手術は骨折だったが、それも大概辛かった。今回は腰だ。しかも神経だ。嫌だ。最悪だ。魔女じゃなかった。何かわからないけど、魔女より最悪だ。
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そんな絶望に支配されながら、医者に問う。
「どうなっていたんですか?」
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「あなたは普通の人より、腰の骨が一つ多いですね。」
「たまにいるんです、こういう人。バランスが悪くて、ギックリ腰になりやすい体質です。」
「当分は、コルセットをつけて、痛みが引いてきたら整体にも通ってください。」
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なんなんだ?
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飲み込むのに時間がかかった。
溢れてくる疑問。
僕は人間じゃなかったのか??
骨が一つ多いせいで魔女を寄せ付けている??
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そう、僕はまさに腰に爆弾を抱えている。
今もこの爆弾は、僕の身体のど真ん中に眠っている。
みんなの腰には腰椎が5つ。僕には6つ。
僕は、進化した新人類となった代償に、とんでもない弱点を抱えて、この世に生を受けたのかもしれない。
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「わたしは、爆弾とともに生きていく。
いつ火を吹くかも知れない地雷を抱えて。
進化の代償はあまりに大きすぎた。」
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悔しくて、進化という側面に焦点を当てることにした。
僕は、進化したんだ。
人類という巨大な船がたどり着けなかった未踏の大陸に、その一歩を刻めるのだ。
誇らしいことじゃないか。
ファクトを揃えよう。私が新人類だということの。
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「どう進めようか。
そうだな、まずはGoogleだ。」
「腰椎 6つ」で検索。
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その後のことは、ショックのあまり良く覚えていない。
もう一度見る勇気もない。
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記憶の片隅にぼんやりと残るその光景のなかで、「チンパンジー」という字を見た気がする。
もしかしたら「オラウータン」だったかもしれない。
けどまあ、だいたいそんな感じだ。
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僕は、未踏の大陸に進むのではなくて、ジャングルから来たのかもしれない。
魔女とともに。
Size | Total length (cm) | Waist (cm) | Shoulder width (cm) | Sleeve length (cm) |
---|---|---|---|---|
S | 62 | 52 | 44 | 56 |
M | 66 | 55 | 48 | 60 |
L | 70 | 58 | 52 | 61 |
XL | 75 | 63 | 55 | 62 |
XXL | 80 | 68 | 58 | 63 |
110 (Kids) | 44 | 35 | 29 | 40 |
130 (Kids) | 51 | 40 | 35 | 45 |
150 (Kids) | 58 | 47 | 40 | 53 |
* Each items does have a tolerance of 3cm in all directions due toproduction process
※ Nekopos(YAMATO TRANSPORT) can use only when purchase up to 50 stickers, up to 2 sacoche bags, up to 30 can badges, 1 note, 1 towel handkerchief, 2 reusable bags, 1 dog T-shirt and 2 Socks
※ T-shirt delivery service(YAMATO TRANSPORT) can be used only when purchasing up to "1 standard T-shirt (excluding XXL and XXXL)", "1 oversized T-shirt", "1 heavyweight T-shirt (excluding 2XL and 3XL)", "1 organic cotton T-shirt (excluding XXL)" and "1 long sleeve T-shirt (excluding XL and 2XL)".